そうりんメールＮｏ．１  １９９９．０６．０５
浄土真宗本願寺派本光寺沖井玲爾
最近、中一になる娘が毎朝、皆の弁当を作っています。
きっかけは母と妻の旅行でした。今までは食べるだけで台所を手伝ったことの
ない娘でした。今までは一食分ぐらいの留守のときは、私や高一になる息子が
作っていました。息子は小学校の一年半ネフローゼで入院生活をおくり、中学
も半日ずつ程度しか学校にいっていないので、料埋をするのが結構好きなので
す。さすがに２泊３日となると、なにを食わせられるかと娘も心配だったので
しよう。妻とメニユーを決め、冷蔵庫の壁に張り、材料を仕入れて、数日前か
ら特訓１１二人が出発をし、その日の夕食から娘の奮闘が始まりました。準備
から後片付けまで私を寄せ付けないで、独りでがんばりました。後片付けは無
理かな、と思っていたのですがちやんとできました。翌朝は、弁当作りと朝食
から始まりました。油の量だの、味付けだのわからないこと続出で、こっちに
こないでと私を遠ざけていた娘も、とうとう質問してきます。息子は、いつも
は台所を手伝うのに、娘のけんまくに恐れをなし寄り付きません。しかし、お
かずを一品づつつくっていきますので、当然時問が足りません。結局、朝食は
私が作りました。その日の夕食は出前を取りました。じつは、私が夕方よりお
通夜で出かけることになり、子供たちだけでは心配でした。次の日はお葬式に
なったもので、妻が急速予定を繰り上げその日遅く帰ってきましたので、娘の
がんぱりはそこまででした。次の日の夕食は、私が妻と子供たちにとっておき
の一品をつくってあげました。私のことを嫌っておりましたが、ちと見なおし
たようです。
お釈迦さまはいつから仏さまになったのでしょうか。
釈迦族の王子として生れ、なに不自由なく育ったものの、病気や老い、死の問
題は避けられない事に悩み、城を捨て、家族を捨てて（出家して）厳しい修行
をはじめます。しかし、厳しい修行では悩み苦しみは解決せず、菩提樹の下の
瞑想で悟りを得ます。普通はこの時点で仏陀（覚者）となったといわれます。
しかし、お釈迦さまはそのままではおられず、昔の修行仲間のところに出かけ
ます。そして、自分の悟りを彼らに教えていくのです。ここからお釈迦さまは
仏陀と呼ばれるのです。なぜでしょうか。悟りをえて安らかな世界に安住する
ことなく、悩み苦しんでいる人々を救おうと努める。これこそ仏の慈悲の姿な
のです。その姿が皆の尊敬を集め、不滅の仏さまになったのです。
私たちはいったい何者でしようか。その働きによって私の名前がつけられるの
でしよう。子供を産んだから親では有りません。親としての働きかけがあって
はじめて、子供は親と認めるのです。お釈迦さまが、仏さまとして敬われるよ
うに。親であり、夫婦であることは決して当たり前なことではありません。常
にそのための働きを忘れないように努めましょう。
ところで、私のとっておきの一品２５年ぷりにつくってみましたが、絶品です。
トマトのフライです。少し固めのトマトを１ｃｍくらいに切ってフライにして、
アツアツをお召し上がりください。野菜嫌いの娘がお代わりをしました。お試
しあれ！