ｿｳﾘﾝﾒｰﾙ　No.48　　　2008.1.15

「健康」

ねえ、このあいだ東京にいる私の姉が体調がよくないっていっていたんだけど、
 お坊さんの得意な詐欺まがいの手口で体調をよくすることできるの。

またお前さんか。詐欺まがいは余計じゃが、できないことはない。
 直接お話できるといいのだが。

体調が悪いから会津にいけないっていってるのよ。

それはこまったな、まあお話だけでも聞いてもらえれば少しは違うかな。
 本当は手をとってあげられると、なお良いのじゃがのう。

触りたいの、あいかわらずスケベねー。

いやいや、手当てという言葉があるじゃろう。今のお医者さんは、
 余り患者に触ろうとしないけど、患者さんはお医者さんに触れてもらうだけで、
 落ち着くのじゃそうな。直接触れ合うことが大事なのじゃよ。

そうだね、今のおおきな病院の先生は、検査結果のデータを見ながら話して、
 患者のほうを見ないもんね。お母さんも落ち着かないっていってたわよ。

ところで、お姉さんは体調がよくないそうだが、何か病気なのかな。

お医者さんには診てもらってるのよ。はっきりどこが悪いというわけじゃないの。
 ちゃんと仕事をしてるんだけど、なんとなく、前みたいに動けないみたいなの。
 病気がはっきりしてたら、お坊さんに相談しないわよ。

それもそうじゃな。

姉はね、スポーツ万能で、仕事もバリバリ、優秀だったのよ。体調悪いなんて信じられない。

昔、優秀だったか。そこが一番の問題じゃろうな。
 若いころの自分のイメージを忘れられなくて、今の自分を比べてしまうのじゃ。
 そうすると、自分はだめになっていると思うであろう。

私だって昔よりだめになってるって思うよ。でも、落ち込むことはないけど。

若いころ他の人と比べて劣っていると挫折感を味わっている者は、それに慣れている。
 優秀なものほど、挫折に慣れていないから、今落ち込むのじゃな。

なるほど？？？　じゃあ、私は昔だめだったていうことなの。

そういうことになるかのう。
 まあそれはともかく、歳を取ればだれでも体力、能力は衰える。
 昔のように行かないのが当たり前じゃ。それを嘆いてもしょうがない。

でも病気なんかしたら、前のように健康になりたいって思うじゃない。

健康って何じゃ。

そりゃ、元気でいることよ、丈夫が何よりね。

スポーツ選手は丈夫といえるが、怪我をして痛みを我慢しながら記録を出しました
 などといっている。元気だからといって健康とはいえないな。世の中の大概の人は
 何かしら怪我したり病気を持っているぞ。

そうか、健康でいるって難しいのね。

そうじゃ、病気を持っているのが当たり前。病気とともに元気で生きていられるので
 十分と思っていればいいのじゃないかな。怪我して体が不自由になっても、
 それなりに生活を楽しんでいればいいのじゃ。

でもね、薬害肝炎訴訟の人なんかをみていると、悔しいという気持ちはよく分かるのよ。
 本当だったら元気でいられるのにって。

よく考えてごらん。健康な人が薬によって体を壊したわけじゃないよ。
 手術などで、血を止めるために薬を使ったところ、害があったということで、
 その薬を使わなかったら命を落としていたかもしれないのじゃ。
 国の対応が遅れたのはまずかったが、１００％安全な薬はないと思うよ。

そうか、事故で車椅子になっても、生きていることを喜んで、生活している人もいるものね。

今の自分がいることを大事にしなくっちゃ。過去の自分を基準にしないで、
 今の自分からどちらに向かうかじゃな。少しでもいいほうに向かえれば、
 悪くなることを減らすことができれば、幸せじゃないのかな。

人は皆、歳をとるし、病気になるのが当たり前か。そう思うと気が楽ね

少しは分かったようじゃな。お姉さんに教えてやりなさい。