ｿｳﾘﾝﾒｰﾙ　No.50　　　2008.2.6

「ミス」

ここいらでも農薬入りギョウザが見つかったそうじゃが、なんともなかったかい。

うちは大丈夫、お母さんが最初に食べるから、変だったらすぐ分かるわよ。

お母さんに毒見させてるのかい。

そうじゃないわよ、なんでも一番じゃないと機嫌わるくなるのよ。

そうかそりゃ仕方ないな、一番には危険が付き物かも知れんな。

なんだか冷凍食品買う気がしなくなっちゃた。

何で買うのかなぁ、自分でつくればいいんじゃないか。

つくるのって大変なのよ、時間も手間もかかるしさ。安くて簡単なのがいいじゃない。
 でも危ないとなるとねぇ。

ニュースで見る限り、中国の工場はちゃんと衛生管理しているように思えるがな。

でも、人のやることだもの、そうは信じられないわよ。
 表向きはちゃんとやってるようにだれでも言うわよ。

ご亭主の言うこともそうかな。

それが一番信じられなくってね。いろいろ言い訳してるけど、何をしてるんだか。

まあそれはおいておいて、人間のやることだものミスはあるのじゃよ。

でも、こちらの命がかかっているんだから、しっかりしてもらわなくっちゃ。

人間だもの疲れれば間違いもするよ、疲れないように休憩をちゃんと取れるようにするとか、
 体調の悪いときは休ませるとか。その分を見込んで計画を立てないと、無理がかかる。
 安くするためにそこを削ってしまうと問題が起こるのじゃないかな。

中国は人権無視ということなの。

いや、日本も同じじゃろうよ。人件費を削るために、管理職にして残業代を払わなかったり、
 納期を守るために徹夜続きで過労死をしたりしている。

うちのだんなも１週間連絡がないけど、生きているかしら。

お宅は単身赴任だろう、どこかで羽を伸ばしているさ。

羽じゃなくて、鼻の下を伸ばしているのよね。今度こそは白状させてやる。

やめとけ、余り締め付けると死んでしまうぞ。女房妬くほどもてはせぬ。
 大体ろくな小遣いをやっておらんじゃろう。

それもそうね。

日本も中国も、余りコストを削りすぎて、ゆとりがないのじゃ。
 だからひとつのミスが事故につながる。ミスができないから、ストレスがたまる。
 ちょっとしたことでも人のミスを許せなくなるのじゃ。お釈迦さまが教えてくださった
　「琴の糸は強く張りすぎたら切れてしまう、緩みすぎては音が出ない」とな。
　時々は優しい言葉をかけてやるのじゃな。

うちの人はいつも緩みっぱなしよ。たまに家に帰ってくると何にもしないで寝てるだけ。
　お腹叩いても　グー　としかいわないよ。

まあまあ、お互いに欠点だらけの人間が、助け合いながら生きているのじゃ、
　今日一日無事に過ごせたことを喜ぶことじゃな。

何も喜ぶことなんかないよ。

同じ一日じゃ、悪いことを探して腹を立てても一日、よいことを見つけて喜んでも一日、
　同じ時間を過ごすなら楽しく過ごしたほうがいいじゃろ。

坊さんの無駄話を聞いても一日、美味しいものを食べても一日、
　どうせなら美味しいものを食べてればよかった。

そのかわり、夜の体重計が怖いぞ。