ｿｳﾘﾝﾒｰﾙ　No.54
「リスクをとる？」

お坊さんおはよう、最近救急車呼んだんだけど、病院たらいまわしされたっていうニュース多いよね、大丈夫かなあ。

ほう、だれかぐあいが悪くなりそうか、心配するな、いつでもわしがいってやるぞ。

医者より坊主がさきに来てどうするのよ。うちのことじゃなくてよ、東京とか大阪のこと。

なんだそうか、まあ心配なことじゃが、大都会では仕方がないよ。

東京とか大阪とか病院いっぱいあるじゃないの、お医者さんがいなくなったわけじゃなし、何で足りないのよ。

大都会は人がいっぱいいるから、病人も多いし、事故も多い、患者の数の割には医者が足りんということかな。

いっぱい人がいるんだから、お医者さん増やせばいいじゃないの。

じゃあ、田舎は人が少ないから、医者は少なくていいということかな。医者の数は限られているからのう。

それは困るわよ、へぼ医者かもしれないけど、すぐ診てもらえるから我慢してるのに、そんなお医者さんもいなくなっちゃあ困るわよ。

そうじゃろう、田舎の人を無視しては困るな、むしろ不便な田舎に住み続けている人にこそ、サービスをよくしてもらわなくちゃな。

でも、都会のほうが、電車やバスはいっぱい走ってるし、買い物も便利だし、住みやすそうなのよね。いいお医者さんもいるし、病院も選べるだろうし。

昔から、都会には新しい文化、歓楽があり、便利だったから人が集まった。でも、犯罪も多ければ環境も悪い。大都会にはそれなりのリスクもあるということじゃな。でも、それを承知で都会に住むことを選んだのじゃから。ある程度のことは我慢することも必要じゃないかな。

私がお坊さんの話を聞かされるのも、自分でここに住むことをえらんだから我慢しろということ。

ほう、よく分かったな。それを言おうとしていたんじゃ。

こんな坊さんが隣にいるって分かっていたら、選んでないわよ。

最初から条件をずらっと並べてさあどうしますかというのは、お見合いするときぐらいじゃろう。それでも仲人は都合の悪いところは隠すから、結婚してみてこんなはずじゃなかったとびっくりするじゃろうよ。

恋愛だったもん、彼のことは分かっていたつもりだったんだけど。

好きで結婚したのじゃろう。自分で選んだから、我慢するしかないよ。

こんなおまけがあるとは聞いてなかったもん。

みんなそうさ、まさか大都会で病院につくまで何時間もかかるとは思わないから怒り出したけど、田舎では普通さ、それを承知で住んでいる。

そりゃそうね、そこそこ便利な地方都市がかえっていいかも。

今までの自分が選んだ結果が、今の姿じゃから、そこは我慢するしかない。今が不満であるなら、文句を言うより、良い様に変えるように努力すればいい。

それは私にダイエットしろっていうこと。

そう聞こえるのは内心そう思っているということで、私が言っているのは一般論じゃ。

どうもそう聞こえないんだけどなあ。

便利で楽しいけど、危険も多い大都会に住むか。不便だけど、自然環境が良い田舎に住むか。それとも、大都会を安全安心な町に変えるように努力するか。そういう選択じゃな。

５分に１本の電車か、１時間１本のバスがいいか。ブランド品がずらっと並ぶデパートか、安いだけのスーパーか、ということね。

いつも渋滞して動かない片側４車線の道路か、いつもすいすい流れている２車線の道路がいいか。いつもよどんだ空気か、いつもさわやかな空気がいいか。ということでもあるがな。

どちらも捨てがたいわね。でも、大都会を変えるというのは無理じゃないの。

あきらめては、いつまでも変わらないさ、少しづつでも変えようとすることが大事だよ。どぶ川だったところが、一人の人の始めたごみ片づけで、いつの間にかきれいになってきたということもあるよ。

誰かがはじめなきゃ変わらないということね。

そうさ、今日のあまったおかずを、お腹に入れるか冷蔵庫にしまうかで、明日のお前さんは違うのさ。

食べても運動をすれば変えることもできるというわけね。

その決断は自分がするので、人のせいにしてはいかんぞ、わしが邪魔をしたからとな。自らの行いの報いは、自分が受けると、お釈迦さまが教えてくださっている、「自業自得」とな。