ｿｳﾘﾝﾒｰﾙ　No.56
「出家」

お坊さん、変な格好をしてどうしたの。
変な格好といわないでくれないか、黒のスーツだから、正装なんじゃがな。
お寺に来る人はそうだけど、お坊さんがそんな格好をしてると、やはり変よ。ネクタイが白というのも変よね。
そりゃ結婚式だもの、白のネクタイさ。
なんだそうか、でも変よね。
そうなんじゃ、お寺の中でも意見の分かれるところでな。女房殿の意見に従ってこんな格好をしていったが、他のお寺さんもよばれていて、皆さんいろんな格好をしていたよ。
へー、どんなかっこうしてるの。
お坊さんの衣でいる人もいたし、私のように黒のスーツもいたし、最初は衣をつけていたが食事が始まると衣を脱いで、普通のスーツになったお坊さんもいたよ。
統一感ないのね、決まりはないの。
とくにないね、ただ出家かそうでないかの違いはあるような気がするね。
お坊さんはみな出家じゃあないの。
出家とは、家を出るということじゃ、家庭生活をしないということになる。髪を剃って頭を丸めるのが、欲を捨てる生活をしますという宣言みたいなものさ。ところが浄土真宗は開祖の親鸞聖人が結婚生活をし、家族を持った、つまり出家ではないということじゃ。
だから、お坊さんは髪を伸ばしてるのか。他のお寺に行くと大概頭を丸めているのに、変だなぁとは思っていたんだ。
そうさ、だから家族もいるし、肉も食べる、欲は捨てられません、阿弥陀さまにお任せしますという立場なのさ。そこで、出家している人は、スーツのような俗服を着るのは変だということになるし、浄土真宗のお坊さんは、出家ではないから、何を着たらいいか悩むことになるのさ。
スキンヘッドに黒いスーツじゃあ、他のお仕事の人に思われそうだしね。
その頭を剃るということじゃが、いつもきれいに剃った頭でいることも、出家としてはおかしいというそうじゃ。
なんで、きりっとしていいじゃないの。
いつも剃っているということは、それも身を飾っていることになり、欲を捨てたことにならない。日を決めて他の人に剃ってもらうことが、出家としては正しいそうじゃな。
なるほど、スキンヘッドが流行しているのじゃあ、そうかもね。じゃあ、浄土真宗のお坊さんは髪を伸ばしているところが特徴なのね。ところでさあ、浄土真宗のお坊さんでも、禿げてくる人がいるじゃない、どうしてるの。
一応お坊さんなのじゃから、坊主頭にすればいいのじゃないかとも思うのじゃが、けっこう苦労している人もいるな。伸ばしていいとなると未練が出るようでな、はげ頭と坊主頭は違うのじゃそうな。