まわり道してみる     (玲) No.102 2000/03/10

＜＜再びは通らぬ一度きりの尊き道をいま歩いている＞＞榎本栄一

▼子供たちも高校と中学、次第に将来の道が気になっています。私は中高一貫
教育の学校でしたので、高校には悩みませんでした。大学は担任の先生が文科
系へいけというので、つい理科系に進み、建築に入ってしまいました。しかし、
大学では授業はあんまり出ず、山登りばかりしておりました。そのまま東京で
就職し、八年間東京近郊で、マンションなどを建ててきました。三十歳を機に
会社を辞め、仏教の勉強に龍谷大学に編入させていただきました。縁あって本
光寺へ迎えていただきましたが、回り道ばかりの人生、まっすぐ龍谷大学に入
り、お寺の勉強をした人にはかなわないと思っていました。
▼会津にきてからは、もともと散歩をするのが好きでしたので、時間のあると
きは少し遠回りをして、あちこち見てきました。そして、会津のいろんなとこ
ろに残された建物、庭、自然のすばらしさは想像以上でした。幼い頃の懐かし
い景色が見え、心が洗われます。
▼ご法事などで皆さんとお話してみると、東京にいたこと、会社勤めをしたこ
と、会津のあちこちを見てきたことで、皆さんと同じ視点でものをみることが
でき、お話ができます。遊ぶことの大切さ、ありがたさがやっとわかってきま
した。
▼遠回りしたと思っていた道が、自分にかけがえのないものを与えてくれてい
ました。今歩いているこの道こそただ一筋の道、みな仏様に照らされて歩んで
いた道でした。大切に歩きたいですね。