自分のことは自分でね　　（玲）No.110  2002/09/10

＜＜自分で自分の始末をつけ得ないのが人間の悲しさである＞＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高光　大船（石川県）

▼先日副住職がある坊守（お寺の奥さん）の集まりで「それぞれに自分の衣は
自分で片づけています」というと、「住職さんに会ってみたい」と変わり者に
あったように驚かれたそうです。
　それぞれに衣を干し、つくろい、たたむ、ごくあたりまえのようにおもって
いました。里の父は夏におまいりから帰るとふんどしひとつになって、白衣を
ざぶざぶ手で洗っておりました。
　息子が大学生となり、京都でアパート暮らしを始めました。各地に散らばっ
てしまいましたが、高校の同級生たちとメールの交換を始めました。かれら新
大学生の当初の最大の問題は食事だったようです。
　毎日何を食べるか、親に食事を作ってもらっていたときには考えたことのな
いことですが、ひとりで生活するためには欠かすことのできないことです。友
達との毎日のメールが今日何を食べたかのやりとりでした。こまごまとした日
常生活の大変さを覚えることも自立の第一歩でしょう。高校生は勉強とともに
一人暮らしのための準備勉強もとても大切なようです。
　結婚とは、二人で日常生活を助け合って生きることかもしれません。自分の
思い込みで生きていたことから、違う生き方をしてきた人とともに暮らして、
新しい生き方を創っていくこと、これが結婚することだと思います。能力はあ
っても、時間がない、それを補ってあげるのも、ともに生きていこうと誓った
ものの努めでしょう。精一杯働けるのも、足りない部分を補ってくれている助
けがあるのです。自分の始末ができないのを悲しむより、お互いに助け合って
生きていけることを喜んでいければいいですね。