おみまい　　（玲）　No.111（2003.3.10）

＜＜信仰は悩みの　逃避ではない　悩みの中に　救いにみちびく＞＞　　九条　武子

▼病院にお見舞いに行くことがありましたが、よくこんなことを聞くことがあ
ります。お見舞いはうれしいけれど、病気になるのは信心が足りないからとか、
これを信心すればよくなるからやってみろとか。・・・しつこくこられて休め
ない。
　今月は九条武子夫人のことばです。夫人は本願寺の先先代鏡如上人のお妹さ
まで仏教婦人会の創立に尽力された方です。関東大震災には、被災者の救援活
動に身を挺して当たられ、その過労からか四十一才で生涯を終えられました。
その随想集『無憂華』のなかのことばです。
　お見舞いに信心を勧める人は、信仰を特別なものと思い、信心すれば病気が
良くなったり、お金が儲かったりすると思っているのでしょう。本当でしょう
か。
　多くの人は、今の自分の価値観で幸せになるようにと望んでいるようです。
でも多くの場合、それは奇跡を待つようなものです。
　宗教とは、そんな自分の絶対と信じている価値観を根底から変えて、新しい
価値を創造していくものです。ただ私たちは凡夫、阿弥陀さまの智慧の光に照
らされて悩みの本当の姿が見えてくるのです。
　病気を治すことがすべてではありません。病気を得ても負けないでくじけな
いで毎日をすごしたいですね。でもなかなかそうはなれません、そんな自分の
悩みをそのままに、悩みを悩みとしないで生きられたのが、九条武子夫人なの
です。
▼女性についてこんなことも述べられています。
「本来女性は、決して憐れむべき弱者ではない、（中略）しかし女性が、知ら
ず知らず男子の同情を要求しこれに甘んじている間は、無気力な弱者たらざる
を得ないであろう。」