ご馳走は希望　　　　(玲)　　No.117（2005.3.10）

＜＜み仏に　どちらを向いても　拝まれている私＞＞　　廣海和代

　先日の涅槃会には山梨から小さなホテルのシェフにおいで願ってお話しをい
ただきました。ご夫婦だけでやっている小さなホテルですが、本格的なフラン
ス料理を出され、さらに病気の方においしく食べていただけるカロリーやたん
ぱくや脂肪を抑えたフランス料理を出されています。
　なぜ病人にフランス料理を出されるのでしょうか。病気になり、食事制限を
しなければならない人は　もうおいしいものは食べられない。少しばかり味を
良くしても、今まで食べてきたものとは到底違ったものなのです。ひたすら我
慢をして、生きるためにものを食べなければなりません。
　ご馳走を食べるということは、昔は年に何回かの行事でした。その日のため
に汗水たらして働き我慢をする。そしてお正月、誕生日、お祭り　いろんな時
にご馳走を食べたものでした。
　病気をしたからといって、ご馳走がもう一生食べられないのではみじめです。
ふだんは辛抱していても、たまにはみんなでご馳走を食べたいですね。周りの
人も何も遠慮しないで一緒に食べたいですね。
　私たちは明日の楽しみがあるから今日を我慢できるのですね。人は希望があ
るから生きられるのです。もう一度ご馳走を食べに行きたいね。こんな想いを
胸に又がんばれるのですね。この小さなホテルが提供してくださっているのは
じつは「希望」なんだなとうれしく思いました。
　阿弥陀さまも私たちをどんなときも見捨てることなく支えてくださっている
のですね。明日への希望をなくさないように。