そだてられ　　　(智)　　　　No.122 (2006.9.10)

＜＜拝む手に　つたわるみ名の　あたたかさ＞＞　　　　　高木　明義

　「あたたかい」って、いいですよね。寒くもなく、暑くもなく、ちょうど
いい。なかなか、得られない環境ですね。
　先日、娘・尊子が「得度」をいたしました。私達にとって、娘が「得度」
するというのは、思いもかけないことでした。むしろ、嫌がっているだろう
と思っていたのです。
　「お育ていただく」という言葉があります。知らず知らずのうちに、大人
になっていく。知らず知らずのうちに、相手の気持ちを思いやることが出来
るようになっていく。それが、一人の力でなく、皆さんに支えられて、『生
かされて生きている私』であることに気付いていく。そういうことでしょうか。
　言葉にださなくっても、出せなくっても、知らないうちに、お法が届いて
いる。朝に晩に聞こえてくるお念仏が、お参りするときに合わせる手の中に、
その「限りないいのち」の尊さを届けてくれるんですね。それが、「あたた
かさ」なんですね。
　僧侶になるということは、二十四時間、どこにいても私の最善を尽くすこ
と、本堂だけが僧侶としての生きる場所ではありません。尊子にとっても、
これからがお育ていただく本番かもしれませんね。