父の最後の言葉              (智) No. 97 1998/03/08

＜＜念仏の信とは　仏の大いなるまことを　頂戴することである＞＞井上善右衛門

▼念仏の信って何のことかなあ？念仏によって得られる信心の事です。念仏に
よって得られるってことは、『南無阿弥陀仏』の大きな大きなはたらきによっ
て得られた信心の事でしょう。でも、その信心ってなあに？如来さまが、『私
にまかせなさい。必ずあなたを救いとりますよ。』と呼ぴかけて下さっている。
それに気づかせていただく事なのです。
　私たち浄土真宗の信心というのは如来回向の信であって、自ら発するもので
はないのです。これが『他力の信心』なのです。他力の信心というのは、自ら
得るのではなく、『いただく』ものなのです。
　ですから信心を得たというのは、『こんな私でも、生かしていただいており
ます。ありがとうございます。』と気づかせていただく事なのではないでしょ
うか？　父は、〃生きる〃の歌に身がふるえる程に感動し、涙を流し、それを
口ずさんでおりました。そして入院中にベットの上から私に語りかけました。
『智子、人間は生かされて生きているんだ。おまかせの私であるんだよ。心も
身体もすべてな。』この言葉は私の心に深く、そしてゆったりとひぴいていま
す。
　如来さまの大いなるまことを頂戴した父の最後の言葉とうけとめています。
　父の言葉が私の中でゆったりとひびいている今、そのひぴきが私のものとな
るまでには時間がかかるでしょう。皆さんと一緒にお念仏を喜び歩ませていた
だこうと思います。