そうりんメール
友人などにもメールで送っています。法話の少し柔らかいものです。
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ｿｳﾘﾝﾒｰﾙ No.65
「ケイジバン」
１月１５日の夜から本願寺の通夜布教に出講いたしました。
１つ目のお話の原稿でしたが、大震災の関係のお話を中心にするように変えたので
半分ほどはお話しておりません。だいぶ長いのですが、読んでいただければ幸いです
掲示板
本光寺には２箇所掲示板があります。境内の入口と、お 墓の入口に。
月に一度書き換えるつもりでいます。以前は本などにある言葉を書いていましたけど、
ちょうどいい言葉が見つかりません。長すぎたり、言い回しが私の感じと違っていたりで、
結局ヒントだけいただいて自分なりの表現にしています。中には仏教とは関係なかったりするのですが。
それでも時々足を止めてみてくださる方がおります。
最近のものですが 「年初め み仏 いつも そばにいる 喜んでよし 悲しんでよし」
今年はあけましておめでとうございますと言いにくいの です。
大震災や原発事故の関係で会津若松においでになっている方も大勢いらっしゃいます。
こんな状態なのにお正月を楽しんでいいのかと思って遠慮している方も、
正月早々悲しんでいる姿を見せられないと小さくなっている方もいらっしゃいます。
仏さまはいつも一緒にいてくださるから心配しないで自分の気持ちのままに過ごしてくださいというメッセージです。
以前こんなことを書いたことがあります。「がんばらず 皆それぞれの いいかげん」
「がんばれ」という言葉いいようですが、けっこう負担 になるのですね。
病気のお見舞いに行って「がんばってね」となにげなく言ったりしますが、
苦しいのを我慢しているだけの患者さんが「これ以上何をしろというんだ」と怒り出すことがあるそうです。
「いいかげん」というと、あまり好くないことのように使われていますが、
もともとは「ほどよいかげん」ということです。自分のちょうどいいところであればいいということなんです。
息子は小学校の終わりごろ、ちょっと病気になってしまい、あまり無理しないように勉強してくれればと見ていました
。すると、いつ見ていても、テレビを見ているかテレビゲームをしているかどちらかなんですね。
心配していましたが、何とか高校、大学に進み、いまは大学院にいます。
その下の娘は小学校のとき、おまけがほしくてベネッセの参考書を購読して積んでおくだけ、
怒ると、ちゃんとやるからといって、とうとうやらないで仕舞いました。
それが中学になるといきなり勉強をし始め、台所でいつ見ても勉強をしているのです。
おかげでお兄ちゃんのあとをぴったりついて、同じ高校・大学とすすみ、大学院でやっと別のところになりました。
今では就職して長野にいます。あれだけ勉強すれば、私もいい大学に行ったろうなとおもえますが、
いい加減にしか勉強をしなかったもので、おかげでいいつれあいに恵まれましたが。
子どもたちに掲示板を書かせたことがあります。
息子が小学校に上がるころだったでしょうか、筆と墨を使わせてみようと書かせてみたのが
「しかられても しかられても おかあさん」という言葉です。
子供はよくふざけます、本人はちょっとしたことだと思っていても、母親にしてみればこれは大変と、よくしかっています。
しかられて泣きべそをかきながらも、お母さんにまた甘えていきます。
そんなに怖いなら、お父さんのところに来ればいいのに、絶対に来ません。
しかられても、頼りにするところはここしかない。
しかるほうもいじめているわけじゃあない、良かれと思ってしかっている。
それがわかるんでしょう。信じるということは、そうなんでしょうね。
阿弥陀さまの第１８願は「たとひわれ仏を得たらんに、 十方の衆生、至心信楽して、わが国に生ぜんと欲ひて、乃至十念せん。
もし生ぜずは、正覚を取らじ。ただ五逆と誹謗正法とをば除く。」と最後に、これをしたらだめだという言葉がついています。
これも、お母さんのしかるのと同じ、決して見捨てはしないけど、悪いことはちゃんと教えねばならないと、
厳しい言葉で諭してくださっているのですね。だから、私たちはひたすらすがっていけるのですね。
子どもの姿に教えられた言葉なのです。
娘にも書かせたことがあります。
やはり小学１年のとき、お兄ちゃんが書いている姿を見ていたので、書いてみるかと聞いたら、書いてみる、といいました。
筆を持たせたら「ちいさいものにも いのちはある」と書き ました。
何の本に出てたの、と聞いたら、自分で考えた、といいます。
どこから思いついたのと聞くと、「くもの糸」の本を読んだから。
私はくもの糸のお話からは、「自分ばかりよかろうと思ってはだめだ」
という教訓を教わったと思いましたが、娘は違うことを感じたようです。
一匹の小さなクモにも命がある、それは大切なものだということをしっかり感じていたようでした。
そんな娘もすっかり大きくなり、大学生として京都のマンションに暮らしていたときのことです。
夜中の１時ころ連れ合いの携帯がなりました。娘からでした、
「ごきぶりがでた！」会津若松からではどうしようもありません。
でも、幸い隣の部屋にはお兄ちゃんがいます。
「お兄ちゃんをよんで捕まえてもらいなよ。」「もう、スリッパでたたいた」
「じゃあ、つまんで捨てれば」「できないよー、またうごきだしたらどうするのー」
「お兄ちゃんに捨ててもらえば」「玄関でたたいたから、またいでドアチェーンをはずしにいけないよ」
と泣いていました。小さなものにもいのちはあったが、動き回られるのは苦手なようでした。
大震災の後、4月1日に「お寺は 心の お風呂です 垢をおとして さっぱり と」と掲示しました。
3月15日の朝にはお寺には南相馬から避難してきた人たちがいました。
数日のつもりでとりあえず避難してきて、そのまま帰れずに大勢の人が街のあちこちにいました。
愚痴でもこぼしていただければと、協力していただけるお寺を探し、キリスト教の教会にもお願いし、
会津若松市内の皆さんの悩みを聞いてくださるお寺と教会のリストと地図を作りました。
あちこちに配ってみましたが、さっぱり反応がありません、それでも、数人がお見えになりました。
やっと皆さん仮設に入って落ち着いたころ、相談に乗ってくださるお寺知りませんかという声があり、
さっそく残っていた地図をお届けしました。
この頃は毎朝大熊町から避難してきた女性がおいでになり、勢いよく愚痴をこぼして帰られます。
東京電力社員の妻としてなかなか難しい立場にいるようです。
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